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    当研究室を志望するみなさんへ

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    学部

    • 当研究室は京都大学 工学部 物理工学科 機械システム学コースに属しています。詳細は、こちらのページをご覧ください。

    大学院(修士課程、博士課程)

    • 当研究室は京都大学大学院 工学研究科 機械工学群 マイクロエンジニアリング専攻に属しています。詳細は、こちらの案内をご覧ください。また、入試に関してはこちらをご覧のうえご相談ください。
    • 機械系出身ではない方には、融合工学コースとして生命・医工融合分野などがあります。
    • また、大学院入学時から学位取得を目指す前後期連携教育プログラムでは、一般選考に加え、特別選考も実施しております。
    • 各種融合工学コースや、大学院博士課程前後期連携教育プログラムに関する詳細は、こちらのページをご覧ください。
    • 京都大学大学院工学研究科・工学部 概要
    • データからみる工学研究科・工学部

    研究室紹介スライド

    • 学部生の方で当研究室について興味がある方は,以下の研究室紹介スライドをご覧ください。

    https://www.mbsys.me.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2022/01/9f0d31bcf838cdac2e06e328a82a6e20.pdf

    研究室見学

    • 大学院進学に限らず,高校生向けの研究室見学や出前講義などを希望される方は、横川までお気軽にお問い合わせください。

     

     いろいろな立場の皆さんが、このページをご覧になっていると思います。「研究室運営について」のページで紹介したポリシーに基づいて、これまでも当研究室の活動やその方針についてご説明してきたつもりです。一方で、一般論では伝わらない部分もあり、それぞれの立場に応じてある程度個別に説明する必要を感じてきました。

     一番不幸なことは、当研究室の研究活動やその方針について何も知らず、希望もせずに当研究室に参画してミスマッチが起きてしまうことです。これは、参画する本人が「しんどい」だけでなく、他の研究者の研究活動の足を引っ張ることになり、我々「研究チーム」としての生産性を下げる非常に不幸な状況を作り出してしまいます。下記を読んで、卒研や大学院で当研究室に配属を希望する方は、あらかじめ研究室訪問することを強くお勧めします。

     

    工学部物理工学科の学生の皆さんへ

     バイトにサークルにと忙しい大学生活を送っていることと思います。その中でこのページを読んでいる皆さんは、そろそろ将来について真面目に考え始めたからではないでしょうか。既に、明確な進路(研究分野)を決めて勉学に励んでいる人もいるでしょう。
     しかし、学部低回生の皆さんから見えている物理工学科に関わる研究領域は、非常に限られた範囲でしかないと思います。物理工学科が関わる専攻には50以上もの研究室がありますが、どのくらい知っていますか?学部低回生の講義では、物理工学科での基礎学問を履修しますので、各教員がそれらの学問を元にどのような研究を展開しているか講義の中で知ることはなかなか難しいと思います。(雑談で話題にする先生もいるかとは思いますが)。
    すべての教員の研究内容を深く理解することは困難ですが、せめてどのような研究があるのか視野を広げる取り組みをしてはいかがでしょうか。一番簡単なことは研究室のホームページを見たり、論文に目を通したりしてみることでしょう。論文がちょっと難解だったり、もっと深く知りたかったりしたら研究室訪問をして教員や先輩と話をしてみることをお勧めします。もしかすると、自分が見えていなかった研究分野に興味を持つことにつながるかもしれません。ひいては、後述の卒研配属の時に希望の研究室に配属されなかったとしても、「あっ、こんな研究も面白かったな」と思い出して、自分が救われることになります。
     このような取り組みは、早いうちから始めるに越したことはありません。例えば、海外の大学では学部低回生のうちから研究室訪問をして視野を広げたり、さらには研究活動に参画して研究者と議論を交わしたりする機会が設けられており、学会・論文発表までする学部学生もいます。当研究室にも学部1~2回生で見学に来る学生がいますが、日本ではまだ一部の積極的な学生に限られていると思います。もし、皆さんが将来企業や大学で研究や開発に携わろうとしているなら、このような積極性は単に卒研配属を待って研究を開始するより高く評価されるはずです。
    3回生でこのページを読んでいる皆さんは、卒研配属に向けてどの研究室にしようかと調べているのだと思います。年末や年明けになって慌ててこのページを読んでいる人はちょっと遅いかもしれませんが、もし3回生の前期にこのページを読んでいる人はここまでの内容を読んでゆっくり準備することをお勧めします。
     卒業(特別)研究および研究室配属について、皆さんの間に様々な噂や誤解があるように感じています。基本的に、卒業研究はあくまで研究室という場を借りて研究テーマに触れ、自ら一定の研究を行うことで学士としての学識を得るものであり、将来の大学院での研究活動、ましてや就職先を決めるものでは一切ありません。ですから、配属が希望通りでなくても失望する必要は全くありません。4回生の前期は大学院入試や就職活動で忙しいので、多くの場合卒業研究を行う期間は実質的に半年程度です。
    繰り返しになりますが、卒業研究の目的は工学分野の学士として求められる、調べる力(論文や特許を調べて読む)、考える力(理論的に問題解決を図る)、コミュニケーション力(日本語と英語で適切に意図を伝える)といった科学技術分野において基盤となる能力をつけることです。それができれば、大学院で研究室が変わっても研究活動を自主的かつ積極的に展開できるはずです。つまり、物理工学科で卒業研究をして、他の大学院に進んでも何ら問題はありません。
     研究室選びでは、上のような観点を踏まえて候補となる研究室を訪問し、(最悪、3月の研究室訪問でも良いですが…)その研究室の研究内容だけでなく指導方針や雰囲気を聞いてから考えることをお勧めします。ホームページと噂だけで研究室配属期間を迎えてしまうのは、皆さんにとっても我々にとっても上記のように不幸な状況をもたらしてしまいます。仮に4回生で希望の研究室に配属されなくても、本当にその研究室で希望の研究テーマに関わりたければ大学院入試において博士課程前後期連携教育プログラムを選択するなど、手段は豊富にあります。
     以上は一般論です。さて、当研究室での研究活動について,学生によっては「しんどい」と感じることがあるようです。これにはいくつか理由があると思いますが、3つほど挙げたいと思います。
     1つ目は研究内容です。「研究内容」のページにありますが、当研究室は皆さんが履修してきた機械工学に関する講義で得られる知見を基盤としていますが、マイクロ・ナノ加工技術という皆さんが触れたことのない技術を利用し、再生医療工学、発生生物学、生物物理学など、一般的な機械工学のイメージから遠いところへ研究を展開しています。ですから、最初は意義がわからなかったり、とっつきにくさを感じることがあるかもしれません。従って、当研究室の研究テーマに面白さを見出し、実験や論文輪読を通して学際的な研究に取り組むモチベーションが持てれば良いですが、これまでの講義で学んだことだけを使って研究したいと思う受動的な学生にとっては、「しんどい」と感じることでしょう。(もしこのような希望を持っている場合、本研究室に限らず研究というものはこれまでに学んだことだけでできるものではないことを認識しておいたほうがよいです。)逆に、皆さんが持つ機械工学に関する多くの知見(引き出し)を活かしながら、ライフサイエンスとしても重要な研究をしたいという人にとっては非常に良い環境です。
     2つ目はメンバー構成です。2022年現在、構成員31名中、修士課程まで含めても学生はわずか12名です。学生はわずか3割と少なく研究者中心のメンバー構成のため、研究室に朝来て夕方まで研究するのが一般的な雰囲気です。このため、いわゆる学生生活の延長のつもりで、研究室でのんびりしたい人には「しんどい」でしょう。逆に、研究者と切磋琢磨して一社会人として成長したい、日々研究に没頭したい人には最適です。
     3つ目は就職先です。近年の学部卒、大学院修士卒の学生について一般的に言えることですが、京大機械系だからと言って就職が保証されているものではありません。ましてや、当研究室に来たらライフサイエンス系の精密機械関連企業を紹介できるというものでもありません。つまり、「研究室配属=就職先がおおよそ決まる」といった図式は成り立ちません。研究室では、アカデミア・産業界といった進路にかかわらず自分の進路を切り拓く力を、研究を通じて養ってもらいます。
     以上、当研究室について「しんどい」と感じてしまう理由について書きました。しかし、皆さんはこの京大機械系で世界初のデバイスを作ったり、未知の現象を明らかにしたりすることを目指して勉学に励んできたのではないでしょうか。我々は、それが可能な研究環境を整えて皆さんをお待ちしています。我こそはと思う皆さん、研究室配属期間に突入して慌てて決めてしまう前に、一度研究室見学にお越しください。

     

    大学院修士課程(博士前期課程)志望の皆さんへ

     当研究室は、工学研究科マイクロエンジニアリング専攻に属しており、機械工学群の大学院入試を受けて入学する必要があります。本気で研究をしたいという意欲のある学生を歓迎しますので、京大内外を問わず受験前に是非研究室見学にお越しください。配属後は、最初ポスドクなど先輩に指導してもらいながら研究を進めますが、次第に独立したテーマで研究してもらいます。修士課程修了までに「大枠のテーマを与えられれば自分で研究を推進できる」までに成長してもらうことを目標としています。修士課程の間に国内学会で数回、国際学会で1回の発表、あわよくば論文1報を目指しましょう。
     当研究室では大学院生は一社会人であると考えて接しています。これは、我々が「研究チーム」であるため大学院生もその一メンバー(研究者の卵)として貢献してほしい、それを通して学位取得後に一科学技術者として独立してほしいという思いからです。また、世界的に見れば大学院とは学生自身の意志で、かつその費用も(親のすねをかじるのではなく)自己負担で進学するのが一般的であり、一度社会経験を積んでから大学院に戻ってくる人も多いからです。
     一方で、企業で実施されるような新入社員教育を研究室で実施することはできませんし、タイムカードもありません。挨拶をする、無断欠席をしない、締め切りは守る、メールの書き方など基本的なことは、先輩方から体得するしかありません。また、当研究室では朝10時には研究室に来るよう推奨していますが強制ではありませんので、基本的には裁量労働制(労働ではありませんが)と言えます。このような自由な環境で、自己を律して研究活動に取り組むことができれば、あなたはクリエイティブな仕事に向いているでしょう。我々もそのような学生指導をしたいと思っていますが、進学当初は「しんどい」と思われるかもしれません。しかし、Covid-19のパンデミックに伴って増加したリモートでの労働や現在導入が進んでいるジョブ型の労働契約ではこのような自律的な働き方が増えていきます。逆に言えば多くの企業で従来のように手厚い研修やOJTを行う余裕がなく、従来のように朝来て指示に従っていれば(若いうちは)身分が保証される、という労働観はすでに事実上成立しなくなっている現状において、自律的に活動し、コミュニケーションをとるスキルと習慣を身に着けることは大変重要です。
    大学院での研究活動は、卒業研究の延長ではありません。皆さんの興味のある研究分野で候補となる研究室は国内外に数10研究室はあるはずですので、その中でどの研究室に進学したいのかよく考えてみてください。逆に、もし既に意中の研究室があれば、国内の他大学、MIT、スタンフォード大、ETH、ソウル大などの同分野の研究室と比べて、本当にその研究室がベストなのか考えたうえで決めてほしいと考えています。
    進学してくる学生のほとんどが、いわゆる修士課程の二年だけを想定しています。しかし、当研究室では博士課程まで進学することを想定して研究テーマを設定しています。これは、世界に目を向ければ「大学院進学=博士の学位取得」というのが一般的な考え方であり、科学技術分野においてリーダーとなっている人は国内外を問わず学位を持っているのが常識となってきたからです。日本では修士課程だけで企業に就職していく学生が依然大半を占めますが、アカデミアだけでなく企業の研究開発部門においても学位を持った人を海外から採用する動きが加速しているのが現状です。(ソースをつけたいhttps://www.mext.go.jp/content/20211020-mxt_kiban03-000018518_5.pdfなど?)
     もちろん、これまでにも修士課程の途中で研究の面白さに気づいて博士後期課程も含めた一貫コースに変更する学生もいましたし、修士課程進学時から博士の学位取得まで見据えて、進学してくる学生もいます。
    博士後期課程までの進学を希望する場合は、入試、履修、経済的なサポートなど個別にご相談ください。例えば、機械工学を履修していないライフサイエンス分野の出身の学生にも対応できる、融合工学コース(生命・医工融合分野)の設定があります。また、博士後期課程においては生活費相当の給付型奨学金を受給することが文部科学省の方針であることから、経済的なサポートについてもご相談ください。(キャリアプランの例を示す)
     その他、基本的な考え方については、「物理工学科機械システム学コース3回生へ」もご覧ください。

     

    大学院博士課程(博士後期課程)志望の皆さんへ

     外部から博士後期課程に直接進学を考えている方は、いつでも面談を受け付けています。機械系の出身でなくても、我々の研究内容に興味のある方は是非ご相談ください。修士課程同様、機械工学をベースにした高度工学コースに加え、ライフサイエンス分野出身の方など向けに融合工学コース(生命・医工融合分野)が設定されています。ただし、新しい研究テーマで博士後期課程を開始する場合、3年間で修了するためには相当の努力が必要です。
     これまでに、マイクロエンジニアリング専攻以外からは、国内の他大学、アメリカ、中国、インド、エジプトなどから博士後期課程の学生を受け入れています。就職先は、大学教員(国内2名、海外1名)、博士研究員(3名)、民間企業(3名)などです。
     学位取得時には、「異なる環境やテーマでも、自分で課題を設定して研究開発を進められる」ことを目指します。学位を取得してからもアカデミアに残るだけでなく、企業への就職もありますし、研究分野を変えることもあるでしょう。博士の学位を取得すると進路が狭まると心配するよりも、より様々なことにチャレンジできる権利を獲得するのだと考えて、学位取得を目指して頂きたいと思います

     

    博士研究員志望の皆さんへ

     当研究室には学振PDやプロジェクトのPDなど、様々な立場の博士研究員が在籍してきました。国籍は、アメリカ、中国、インド、エジプト、バングラデシュなどです。また、そのバックグラウンドも多岐にわたり、電気化学、発生生物学、高分子化学、神経科学などから参画してもらい、大学院生や他の研究員に良い刺激を与えてくれています。異分野からの参画であれば、我々はマイクロ・ナノ加工技術の提供を通して一緒に研究することができますので私も大変刺激になります。一方、機械工学分野の出身であっても、他の研究員からライフサイエンス分野の研究手法を学び研究を進められることは、将来独立PIとなる上でも非常に重要な経験を積む環境が整っていると言えるでしょう。
     研究室内では、分野の違いにかかわらず研究に対する姿勢や共同研究における協調性を体現することで、後輩の良きお手本となってください。また、研究室運営や学生指導に関わってもらうことでいわゆるポスドクトレーニングを積んで頂きたいと思います。ポジションの空きについては、いつでもお気軽にご相談ください。